食べた物がエネルギーになって、元気に体を動かすことができる。では、いつ何を食べたらいいの?

小学校で栄養教諭をしている須合先生に、運動と食事についてお話を聞いたので、ここで紹介するね。

北海道教育大学附属札幌小学校 
栄養教諭 須合 幸司先生

<プロフィール>
栄養教諭1種免許・管理栄養士・健康運動指導士・上級睡眠健康指導士・フードサイエンティストの資格を持ち、小学校で栄養教諭として働く。子どもの生活習慣改善・体力向上、睡眠、スポーツ栄養などを研究。

 

『エネルギーになる食べ物』と『体を作る食べ物』

元気に体を動かすためのエネルギーのもとになるのが、ご飯やパン、めん類などの炭水化物(糖質)と脂質。そして、肉や魚などのたんぱく質は、みんなが強く、大きく成長するのに重要な栄養素。走ったり、跳んだり、全ての動作に必要な筋肉はたんぱく質でできているよ。

エネルギーになる炭水化物(糖質)が不足している状態で運動をすると、体は筋肉をとかしてたんぱく質からエネルギーを作り出そうとする。毎日の練習で作った筋肉が分解されてしまったら、努力も台無しになり、体も動かなくなってしまうんだ。

 

”勝つ”ためにいつ食べる?

では、運動前の食事はいつ食べればいいのかな?食べた物をエネルギーとして使うためには、まずお腹の中で分解されて消化吸収されなければならない。食べ物は消化されていなければ、体にとってはただの“重り”となって、体を動かしづらくしてしまうんだ。

消化に3時間かかる普通の食事なら、運動開始の3時間前までに食べ終わろう。そして、3時間かけて消化した食べ物は、スタミナが3時間持続するといわれている。図2を参考に、運動時間に応じて、上手に食事を取ろう。

試合や練習まで1時間を切っている場合は、食事をひかえよう。試合前などで緊張や興奮をしていると、プラス1時間位、消化がおそくなるよ。

☆食べた物は消化されなければ、エネルギーに変わらない!

☆食べた物を消化する時間と、スタミナが持続する時間は同じ!

 

”ゴールデンタイム”に栄養補給で元気回復!!

運動後の30分以内は“ゴールデンタイム”といわれ、つかれた体を回復させるための栄養を補給するのに最も良い時間。水分や糖質の他、体を作るもとになるたんぱく質をどう取るかがカギ!例えば、手軽に取れる飲むヨーグルトがおすすめ。

逆に、運動後30~60分は、少しの食事量で満足してしまう時間帯。つまり、体を回復させるのに十分な食事を取る前に、お腹がいっぱいになってしまうんだ。そのため、食事は運動後60分以降に取るのがおすすめだよ。

☆運動後30分以内の飲むヨーグルトがおすすめ!

☆食事を取るなら、運動後60分以降がおすすめ!

 

夕食が午後8時に・・・油を減らし、素早く消化!
運動後の元気回復メニュー

白鮭のてりたま丼

【材料】(1人分)
ご飯:茶碗大盛1ぱい
白鮭:1切れ
卵 :1個
大葉:2枚

[たれ]
しょう油・みりん・砂糖:各大さじ1/2
酒:大さじ1
砂糖・塩:適量

【作り方】
①白鮭を耐熱容器に入れ、混ぜ合わせたたれをかけて、レンジで1~2分加熱。
②皮と骨を取り、身をほぐして、たれとからめる。
③ご飯の上に、ふっくらいり卵、白鮭、刻んだ大葉をのせる。

「とりむね肉(皮なし)・ジャガイモ・小松菜のとりがらスープ」をプラスして完成!

目指せ スーパー野球少年!~食べるならどっち?~

小学4年生の一郎さんは、野球少年団に入って練習をがんばっているよ。もっと野球をうまくなって、試合で活躍したい一郎さんからの質問に、みんなはどう答えるかな?

Q1
平日は午後4時半から練習。練習前の3時に手軽に食べられるパンを食べたい。食べるならどっち?

①ミニクリームパン
②ミニあんパン

Q2
練習でおそくなって、夕食が午後8時になっちゃった。食べるならどっち?

①ご飯・とりの照り焼き・トマト
②ご飯・ささみカツ・ポテトサラダ

Q3
明日は朝から試合だ!朝が早いからあまり食べられない。食べるならどっち?

①卵かけご飯
②食パン1枚とトマト

Q4
練習をたくさんした日は、ねる前のアイスが楽しみ!食べるならどっち?

①バニラモナカ
②ブドウシャーベット

須合先生からの答え

A1
②が正解!クリームより脂質の少ないあんこのパンを食べよう。練習開始まで1時間しかないなら、消化の早いゼリー飲料がおすすめ。

A2
①が正しいよ。揚げ物やポテトサラダのマヨネーズは脂質が多いから、消化に時間がかかる。ねる前にきちんと消化されないと、効率良く体を成長させることが出来なくなるんだ。ねる前は、脂質が少な目の物を!

A3
①がおすすめ!ご飯に、ビタミンB1とB2をふくんだ卵を合わせると、エネルギーのもとに変身!

A4
②が正解!バニラアイスには乳脂肪分が多くふくまれる。果汁などをこおらせたアイスキャンディーやかき氷などの氷菓系がおすすめ。

 

お菓子やデザートは楽しみの1つだよね。でも、おいしい物には脂質がいっぱい!運動やねる前までに消化できるよう、脂質の少ない方を選ぼう。

運動3時間前に・・・
エネルギーにもなる朝食レシピ

ネギ豚そぼろの焼きおにぎり

【材料】(1人分)
ご飯:茶碗2はい
豚もも肉:100g
長ネギ:10cm
しょう油・みりん・酒:各大さじ2
砂糖:大さじ1

【作り方】
①豚もも肉・長ネギをみじん切りにする。
②調味料をフライパンに入れて煮立たせ、肉を入れる。
③肉に火が通ったら、長ネギを加えて汁気を飛ばす。
④温かいご飯と③をよく混ぜて、おにぎりを作る。
⑤フライパンやオーブンでおにぎりの両面を焼く。お好みでしょう油&みりんをぬってもОK!

炭水化物 たんぱく質 ビタミンB1・B2
「玉子焼き」「豚汁」「夏野菜」をプラスして完成!

須合先生からのメッセージ

少食であまり量を食べられない子もいると思うけれど、毎日ご飯一粒でも、一口でも多く食べるようにがんばれば、1年後にはたくさん食べられるようになっているよ。食べることもトレーニングの1つ。勝つために食べよう!