円山動物園だより|今月の動物:フンボルトペンギン

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円山動物園の飼育員さんが、動物や動物園、自然について紹介するコーナーです

『フンボルトペンギン』

ペンギン目/ペンギン科
     【生息地】南アメリカの太平洋側沿岸地域

円山動物園には19羽(オス10羽・メス7羽・不明2羽)います。

 

よく見かけるけど 実は絶滅の危機?!

ペンギンといえば、寒い地域にすんでいると思う人が多いかもしれませんが、フンボルトペンギンは、チリからペルーにかけての温暖な海岸沿いに生息しています。鳥のふんなどがつもって化石化したグアノや、岩の割れ目などに巣を作ります。100年前は約100万羽以上いたといわれていますが、今では約3万2千羽といわれ、絶滅の危険性があります。巣穴となるグアノが、農作物の肥料用にけずり取られ、漁業による影響で魚が減り、漁網にかかって死亡するなど厳しい環境におかれているからです。

下の方から羽がぬけています

水中では、体がぬれるのを羽が防いで体温を保つため、冷たい海にもぐってイワシやサンマ、イカなどをとることができます。羽は1年に1度生えかわり、いつでも新しい羽が体を守ってくれます。生えかわり時期の2~3週間は海にもぐれないため、何も食べずに巣穴でじっと過ごします。

 

グレーでふわふわヒナが誕生

円山動物園では、春に2羽のヒナがふ化しました。約40日間、両親が交代でお腹の下で卵を温めます。ヒナは卵のからを上くちばしについている卵歯でつついて割り、1~2日間かけて外に出ます。生まれたときの羽毛はグレーでふわふわ。この羽では水の中に入ることはできません。ふ化後10週くらいで幼鳥の羽に生えかわり、泳げるようになります。

生後約40日。生まれたときは手の平サイズ

ヒナはピヨピヨとかわいい声で鳴きますが、親は巣穴を守るとき、他のオスに縄張りを主張するとき、メスに使える巣があることを知らせるときなどに、大きな低い声で鳴きます。こんな声で鳴くのかと、びっくりするかもしれません。今しか見られない育ちざかりのヒナの様子も、ぜひ観察してくださいね。

生後約2カ月の親子

 

まるやまニュース     

カンムリシロムクのヒナ誕生

6/12(水)にカンムリシロムクの卵がふ化しました。円山動物園では今回が初めてのふ化です。インドネシアのバリ島にしか生息していない、絶滅危惧種となっている希少な鳥です。ぜひ見に来てくださいね。

場所:カンガルー館

教えて! 飼育員さん

飼育員さんが、みんなからの質問に答えるよ!

Q. 動物の体調が悪いときは、どうやって分かるの?

A.  野生動物は、体調が悪そうにしていると他の動物にねらわれやすくなるので、体調が悪いことが分からないようにしています。動物園でも、体調の悪さを見た目で判断するのは難しいですが、普段との行動のちがい、食べる量、体毛やふんの状態などを観察して体調を確認します。普段とちがいがあれば、血液やふんの検査を行い、薬を与えるなどして治療します。

 


協力・監修/札幌市 円山動物園
札幌市中央区宮ヶ丘3番地1 TEL. 011-621-1426
http://www.city.sapporo.jp/zoo/