北海道にすむ美しい鳥―タンチョウは、国の特別天然記念物になっています。今回は、タンチョウの保護の歴史や生態などについて紹介します。

絶滅の危機からよみがえった鳥

北海道の鳥として親しまれ、国の特別天然記念物になっているタンチョウ。絶滅の危機から奇跡的によみがえった鳥といわれています。

かつては北海道全域で見られ、冬には本州まで渡り越冬していたといわれており、捕獲されたり、すみかである湿地などが開発されたりしたことで、明治時代以降は絶滅したと考えられていました。

大正時代に釧路湿原で再発見されてからは、地元の人たちによる保護活動や給餌(*)活動など、温かな思いやりのある活動により少しずつ増えていき、平成17年には1,000羽を超え、令和2年1月には1,370羽が確認されています(図1)。

*給餌とは…人がえさをあたえること。

自然な環境でタンチョウが暮らせるように

タンチョウは、北海道東部の湿原を中心に見られますが、環境保全活動が実り、サロベツ湿原や十勝川流域、近年は、むかわ町や苫小牧市ウトナイ湖、長沼町でも確認されています。

ただ冬は、ほとんどのタンチョウが釧路の給餌場地域に集中して越冬します。そのため、「過密化し、鳥インフルエンザなどの感染症が起こる可能性がある」、「タンチョウが人慣れし、電線への衝突、交通事故が起きる」などの問題が発生しています。

タンチョウは、湿地などで魚類や昆虫、カエルなどの生き物や、植物を食べて暮らしますが、冬の北海道には、十分にえさがある、こおらない湿地が少ないと考えられています。給餌でタンチョウを守る状態から、自然にタンチョウが暮らせるようになることが目標です。昔のように北海道全域、そして本州にもタンチョウがすめるような環境になるよう、みなさんも身近な自然を大切にしていってくださいね。

タンチョウってどんな鳥?

全長:140㎝ほど 体重:10㎏前後
つばさ:広げると240㎝ほどにもなる

日本では7種類ほどの野生のツルが見られますが、タンチョウは日本で繁殖する唯一の野生のツルです。北海道東部の湿原を中心にすんでいます。ロシア、中国などにも生息し、世界では約3,000羽ほどが確認されています。

全身の羽は白く、のどと首は黒灰色。後頭部に赤い皮膚があり、「丹(赤い)」「頂(てっぺん)」で「丹頂」という名前が付いたといわれています。見た目だけでは、オス・メスの区別を付けるのが難しいですが、オスは「コオー」、メスは「カッカッ」と鳴きます。

タンチョウ(成鳥)の足あと(左足)

長い指が3本、とても短い指が1本、全部で4本の指があります。

 

タンチョウが見られる主な場所

各施設でタンチョウを観察することができます。ルールとマナーを守って観察しましょう。営業時間などくわしくは、お問い合わせください。

鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ

阿寒郡鶴居村中雪裡南 TEL. 0154-64-2620

鶴見台

阿寒郡鶴居村下雪裡 TEL. 0154-64-2050

阿寒国際ツルセンター

釧路市阿寒町上阿寒23-40 TEL. 0154-66-4011

小・中学校でタンチョウの調査をしています!

北海道のタンチョウの生息数を調べる調査に小中学校も参加しています。昨年12月の調査では、道内の小学校11校、中学校6校、全185名がカウント調査を行いました。双眼鏡を使って、何羽飛来しているかを数えます。頭上を舞うタンチョウの姿が見られるなど、感動体験をしています。

長沼町立長沼小学校
鶴居村立鶴居小学校

ツルのことわざクイズ

ツルにまつわることわざクイズだよ。左のことわざの正しい意味を右から選んでね! 答えはこのページの下にあるよ。

【ツルのことわざクイズの答え】
1.C 2.A 3.B

 


監修:北海道 環境生活部 環境局 自然環境課