旭山動物園の副園長で獣医師の池谷優子さんが、動物や動物園、自然について紹介するコーナーです。

今回のテーマは… 動物とウイルス感染防止対策についてです。

動物の感染対策

動物園の飼育舎には、「ふみこみ消毒槽」という消毒薬を入れたおけがあります。これは、飼育作業をするときにはいている長靴を消毒するために置いています。また、手指消毒のためのアルコールスプレーも常備しています。みなさんの生活で、身近になっていることに似ていると思いませんか。人の世界ではコロナウイルスの感染を防ぐために、アルコール消毒をしたり、マスクを着けたりしていますね。  

「ふみこみ消毒槽」で長靴を消毒します

動物園でも、外部から病気の原因を持ちこまないよう、長靴や手指の消毒を行っています。特に冬から春にかけて警戒しているのは、高病原性鳥インフルエンザ感染症です。これはカモ類が冬にシベリア地方から越冬のためにわたってくる際にいっしょに持ちこまれ、その後何らかの経路で養鶏場などにウイルスが侵入すると、ニワトリをたくさん殺してしまう病気です。ニワトリに大きな被害をおよぼし、野鳥でも種類によっては死亡することがあります。

 

動物の命を守るために…

環境省では、野鳥が越冬に来る11月から5月まで、野鳥のウイルス感染調査をして、結果を公表しています。動物園でもニワトリやカモ類、猛禽類などの鳥類を飼育しているので、動物の命を守るため、ウイルスの侵入を防がなければなりません。そのために、感染防止のためのマニュアルを作成し、対策を行っています。

今年は旭川でも野鳥からこのウイルスが検出され、動物園としてより強固な対策をしなければなりませんでした。幸い、それ以降野鳥での発生はありませんが、いつ何時感染するとも限りません。飼育員はその可能性をできるだけ減らす対策をしながら動物たちのお世話をしているのです。

動物園の鳥類を守るための対策をしています

 

あさひやまニュース

エゾモモンガ舎がオープン!

夏期開園から新しい施設「エゾモモンガ舎」がオープンします。昼夜を逆転させて展示できるので、昼の時間に夜行性のエゾモモンガの活動をじっくり観察できる施設になっています。お楽しみに!

 

教えて! 飼育員さん

飼育員さんが、みんなからの質問に答えるよ!

 Q.  フクロウの首は何度くらい回りますか?

A. フクロウは首の関節がやわらかく、最大270度回すことができます。しかし、視野は110度くらいと、すごくせまいです。体を動かさず顔だけを真後ろにも向けることができ、視野のせまさをカバーしています。視力は良く、物を立体的に見ることもできます。

 


旭川市 旭山動物園

旭川市東旭川町倉沼
TEL.0166-36-1104
http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/

協力・監修/旭川市 旭山動物園